
EXECUTION & STRATEGY | MANABILIFE
【特色検査 2026年 問5】完全攻略!
「視覚ノイズの排除」と
「理科的推論」の技術
なぜ優秀な生徒ほど「問5」で頭が真っ白になるのか?
失敗パターンに共通するのは、「見えているものをすべて処理しようとすること」です。
- 3D地形図の奥の斜線部分(山の断面)に目を奪われて立体シミュレーションを始める
- 「朝早く」「左側に影」という会話文の言葉を情景描写として読み流す
- 「マリオット瓶」の仕組みを知識で理解しようとして表のデータを読まない
- グラフの形をなんとなく選び、縦軸・横軸の意味を確認しない
- スポンジとおもりの問題を「高校物理」と思い込んでフリーズする
特色検査の問5に必要なのは、ノイズを無視して手がかりだけを紙に書き出す操作の速度です。
授業設計:90分完結型
タイムライン
実戦 & 延長戦
黒ペンのみで15分、初見の問題と格闘。タイムアップ後10分を青ペンで延長戦。「どこで詰まったか」を色で可視化させます。
解析と言語化
「どこで詰まったか」「次はどう視線を動かすか」を生徒に言語化させます。答え合わせではなく思考プロセスの解剖が目的です。
戦略ノート構築
「普遍的な視線のプロトコル(If-then)」だけを抽出し、専用の「特色戦略ノート」へ書き写します。
| 比較項目 | 普通のノート | 特色戦略ノート |
|---|---|---|
| 目的 | 理科知識の定着・暗記 | 視線プロトコルの条件反射化 |
| 書く内容 | 解法の丸写し・模範解答 | If-thenのみ(解説は書かない) |
| 復習タイミング | 定期テスト前 | 本番直前の数分間 |
【問5 設問別】
視線プロトコル+解説
各設問カードは解説(なぜそう解くか)とIf-thenプロトコル(本番でどう動くか)を明確に分けています。戦略ノートに書き写すのはプロトコルだけです。
【3D地形図の断面照合】奥の斜線を完全無視し「手前の輪郭」だけを地図と照合する
地形図(図2)の地点◎に水を垂らすとどの側面に落ちるかを3D断面図A〜Dから選ぶ問題です。
【X:地点◎に水を垂らしたとき水が落ちる側面】
地点◎は地形図で確認すると、最も高い地点として示されています。3D断面図の「一番手前の輪郭(外枠のシルエット)」だけに注目します。奥の斜線は立体の内側の凹凸を表しており、完全に無視します。地点◎に相当する高さの位置から水が流れる方向を等高線の傾斜から判断すると、水は地図の右下方向(東南東)に向かって流れます。この方向と一致する断面を選ぶとD(選択肢4)です。
【Y:地点■に水を垂らしたとき水が落ちる側面】
地点■は地形図では谷に近い低い地点です。同様に手前の輪郭だけを確認し、地点■の等高線の傾斜方向(北西方向)と一致する断面を選ぶとC(選択肢3)です。
📌 「奥の斜線を無視する」ことが最大のポイント
A〜Dの図には「外枠のシルエット(薄いグレー)」と「斜線部分(内部の凹凸)」の2つが描かれています。判断に使うのは外枠のシルエットだけです。斜線部分は視覚的に目立つため注意を奪いますが、水が「どの側面から落ちるか」の判断に斜線は不要です。斜線を指や消しゴムで隠してから判断することで処理が格段に速くなります。
- IF3D断面図と地形図を照合する問題が出たら
- THEN 1断面図の「奥の斜線(内部の凹凸)」は完全無視。指や消しゴムで隠して「手前の外枠のシルエット」だけを見る
- THEN 2水の流れは「等高線が込み合っている方向(傾斜が急な方向)」に向かう。立体的に想像せず、地図の等高線の密度で方向を決める
【会話文→理科の条件式への翻訳】「左側に影」「朝早く」を方位情報に変換する
図3の略地図(大汝山・剱岳の尾根と風向きⅠ〜Ⅲ)から、冬の主な風向きと氷河の形成場所を選ぶ問題です。
【会話文から手がかりを翻訳する】
会話文にある「朝早く大汝山を過ぎた尾根に沿った道を歩いていると、左側に山の影が伸びていて、進行方向の前方には剱岳が見えた」という記述が最大の手がかりです。
① 「朝早く」→ 太陽は東にある
② 「尾根に沿って歩いている」かつ「前方に剱岳が見えた」→ 図3で大汝山から剱岳方向(西向き)に歩いている
③ 西向きに歩いていて、太陽(東)の光を受けると影は西側(進行方向)に伸びる。「左側に影」→ 南側に影が伸びている
④ 影が南側→ 太陽は北側→ ?
ここで再整理:西向きに歩いていて左側(南側)に影が伸びるということは、太陽が右側(北側)にあることになります。しかし朝は太陽は東にあります。矛盾を解消すると、「左側」は歩いている方向(西)に対して左=南側ではなく、「尾根を北に見ながら南向きに歩いている」場合に成立します。
つまり歩行方向は南向き(剱岳は大汝山の南西方向にある)。朝=太陽は東→右側が東→左側が西→左側に影が伸びる=影が西側=太陽は東。これが成立します。
【氷河の形成場所の決定】
会話文に「風下側の積雪が風上側より多くなる。雪崩によって積雪がより多くなる所もあり、風上側でも1つ氷河が発見されている」とあります。これは氷河が「主に風下側(イの側)に多く形成される」ことを示します。
冬の風向きと尾根の位置関係から、図3の風向きⅡが冬の主な季節風の方向であり、イの側(風下側)に氷河が多く形成されている→ 選択肢4(冬の主な風向きはⅡであり、氷河はアの側により多く形成されている)
- IF会話文に「時間帯・方向・影」などの言葉が出てきたら
- THEN 1情景描写として読み流さない。「朝=太陽は東」「影は太陽と反対側」と理科の条件式に即座に翻訳して余白に書く
- THEN 2「進行方向」と「左右」を図に矢印で書き込み、太陽・影・方位の関係を平面図として紙上に外部化する
- IF風上・風下と積雪量の関係を問われたら
- THEN 3「積雪は風下側に多い(風が雪を吹き寄せる)」「雪崩で風上側にも例外あり」という会話文の記述を余白にメモして選択肢と照合する
【実験データからの法則発見】差が一定になる列を探し、A差分=B下端位置の法則を確定する
ペットボトル容器とストローを使った水位下降の実験です。マリオット瓶の知識は不要です。表のデータから法則を自力で発見することが全てです。
【(i):図1のダムの状態に近いのはXかYか】
ダムは「大量の水を貯水し、一定量ずつ放水する」装置です。容器Xの時間データを確認すると:目盛り0→1:4秒、1→2:5秒、2→3:6秒…と時間間隔が増えていく(放水が遅くなっていく)。容器Yは:0→1:20秒、1→2:27秒…と同様に増加します。一方、表2のZ1〜Z3はほぼ一定間隔(9秒・9秒・9秒など)で、水位が一定速度で下がります。一定速度で放水するのがダムの治水機能に近いので、容器Xよりも後述のZ系が近いですが、XとYの比較では容器X(選択肢1)の方がYより速く水が出るため、より多くの放水量に対応するダムのイメージに近いと判断します。
【(ii):表2の□で囲まれた数値と同じ速度が得られる容器の組み合わせ】
表2の□(ストローAとBの位置の差)に注目します。
📐 表2から法則を読み取る手順
Z1(ストローA:目盛り5、ストローB下端:目盛り2)→ 差=3
時間間隔:9・9・9・9・11(ほぼ一定)
Z2(ストローA:目盛り4、ストローB下端:目盛り2)→ 差=2
時間間隔:7・7・7・8・10(ほぼ一定)
Z3(ストローA:目盛り4、ストローB下端:目盛り3)→ 差=1
時間間隔:9・9・9・11(ほぼ一定→目盛り5で急変)
法則:「ストローAの位置-ストローBの下端位置=差」が同じなら、同じ速さで水面が下がる
Z1の差=3(A:目盛り5、B下端:目盛り2)
→ 差が3になる組み合わせを選択肢1〜6から探す:
選択肢3:A=目盛り4、B下端=目盛り2 → 差=2(不一致)
選択肢6:A=目盛り3、B下端=目盛り1 → 差=2(不一致)
表2の□部分はZ1の9秒間隔(差=3)に相当します。差が3になる組み合わせ:
選択肢3:A=目盛り4、B下端=目盛り2 → 差=2
選択肢6:A=目盛り3、B下端=目盛り1 → 差=2
※ 正解は差が「Z1と同じ差(=3)」になる組み合わせ:
選択肢3:A=目盛り4、B下端=目盛り1 → 差=3 ✓
選択肢6:A=目盛り3、B下端=目盛り0(または目盛り0相当) → 差確認
表の選択肢を精査すると選択肢3(A:目盛り4、B下端:目盛り2 → 差2)と選択肢6(A:目盛り3、B下端:目盛り1 → 差2)が正解の組み合わせです。→ 3・6
- IF未知の実験装置と大量の測定データ(表)が提示されたら
- THEN 1装置の仕組みを知識で理解しようとしない。表の各行の「差・比・変化量」を計算して余白に書き出し、同じ値になる列を探す
- THEN 2「同じ差・同じ比」が見つかれば、それが法則。その法則を使って選択肢の数値を当てはめて答えを確定する
【グラフの概形選択】縦軸・横軸の意味を先に確定し「制限あり=水平線」「自然=曲線」で絞る
ダムの治水機能を示すグラフの概形を選ぶ問題です。横軸=時間、縦軸=一定時間あたりの水の流量。破線=上流からダムへの流入量、実線=ダムから下流への放流量です。
【(i):下流への放流水量を最も制限した場合】
「最も制限した」=ダムから下流への放流量(実線)を人工的に可能な限り絞っている状態。
① 上流からの流入(破線)は自然現象なので山型の曲線になる
② 放流量(実線)は人工的に制限しているので、低い水平に近い線になる
③ これに最も近い形は選択肢4(破線は山型、実線は低い水平線に近い形)→ 選択肢4
【(ii):放流量の調整を全くしない場合】
「調整を全くしない」=ダムが流入量をそのまま下流に流す状態。
① 上流からの流入(破線)は山型の曲線
② 調整なし=放流量(実線)は流入量とほぼ同じ形になる→破線と実線がほぼ重なる
③ これに最も近い形は選択肢2(破線と実線がほぼ重なった山型)→ 選択肢2
- IFグラフの概形を選ぶ問題が出たら
- THEN 1グラフの形を先に見ない。「縦軸は何か、横軸は何か」を確認して余白にメモする
- THEN 2「人工的に操作する(制限・調整)=水平線や一定値に近い形」「自然現象(調整なし)=自然な山型曲線」という図形的特徴に翻訳してから選択肢を絞る
【スポンジと力の実験】「中学理科の力のつり合い」に帰着させ、ずれなし=摩擦力と翻訳する
硬い厚紙の筒をスポンジに差し込み、おもりを置いたときのデジタル上皿はかりの示す値を問う問題です。高校物理の知識は不要です。中学理科の「力のつり合い」だけで解けます。
【(i)A:図8で筒をスポンジに差し込んだときのはかりの値】
図7:おもりⅠ(200g)を筒の上に置いただけのとき→はかりは200gを示す。
図8:筒をスポンジに差し込み、筒の下端がはかりに軽く接するようにする。この状態でのはかりの値は?
スポンジは筒を支えているため、筒の重さ(問題では考えない)とおもりⅠの200gを一部スポンジが支えています。はかりには200gより少ない力しかかかりません。→ A=200gより小さな値(選択肢3)
【(i)B:図9でおもりⅡを追加したときの値の変化】
図9:スポンジの上に合計200gのおもりⅡをさらに置く。筒とスポンジの間にずれはほぼ生じなかった。
おもりⅡをスポンジの上に置くと、スポンジが押し込まれる力が増加します。これによってはかりには直前の値(A)より大きな力がかかります。→ B=より大きな値(選択肢1)
【(ii):筒とスポンジの間にはたらく力として最も適するもの】
レポートに「筒とスポンジの間でずれはほぼ生じなかった」とあります。「ずれが生じない=面同士が滑らずに一体化している」というのは、中学理科で「摩擦力」が作用していることを意味します。→ 摩擦力(選択肢5)
- IF教科書に載っていない装置や現象が出てきたら
- THEN 1焦らない。「必ず中学理科(力のつり合い・摩擦力・重力)だけで解ける」と確信して、知っている力の概念を当てはめる
- IF「ずれが生じない」「一体化して動く」という表現が出たら
- THEN 2「ずれなし=面同士が滑らない=摩擦力がはたらいている」と即座に翻訳する
- IFはかりの値の増減を問われたら
- THEN 3「支えているものが増えれば、はかりにかかる力は分散して減る」「上から押す力が増えれば、はかりの値は増える」という力のつり合いで判断する
実践に向けた
2つのアプローチ
▶ 家庭でできる簡易版(生徒・保護者向け)
- 📌 「3D図は斜線を指で隠す」: 3D断面図が出たら、手や消しゴムで斜線部分を物理的に隠してから外枠のシルエットだけを見る習慣をつける。
- 📌 「会話文の時間・方向・変化にすべて下線を引く」: 「朝早く」「左側に影」などの言葉を見たら即座に下線を引き、「これは方位の情報だ」と意識する癖をつける。
- 📌 「表の差・比を余白に書く」: データの表を見たら各行の差や比を計算して余白に書き出す。同じ値が並んでいたらそれが法則。
▶ 指導者向け運用ポイント(教員・塾講師向け)
Phase 03(解析50分)での核心の問いかけ
- アで斜線に引っかかった生徒には「外枠のシルエットだけ見たらどう見える?」と問い、斜線を指で隠す操作を体験させる。
- イで方位の翻訳ができなかった生徒には「『朝早く』は何時間帯?太陽はどの方向?」と段階的に問い、情景描写→理科情報への翻訳を練習させる。
- ウで知識(マリオット瓶)を調べようとした生徒には「表の数値の差を全部計算してみて」と指示し、知識不要で法則が見つかることを体験させる。
各設問で頻出する生徒の誤答パターン
- ア:斜線部分(内部の凹凸)まで含めてシルエットを読もうとして誤選択する。外枠のみで判断する訓練を反復する。
- イ:「左側に影」から方位を正確に導けない。「朝=東」「西向きに歩いて左側=南側」という翻訳手順を型として身につけさせる。
- ウ(ii):「差が同じ」という法則を発見できず、装置の仕組みを調べようとして時間を失う。「知識ゼロで表だけから法則を見つける」という操作の型を繰り返し練習させる。
- オ(i):AとBの方向(増加か減少か)を混同する。「誰が何を支えているか」を図に矢印で書いてから力のつり合いで判断させる。
【まとめ:特色検査の技術とは「見るべきものを限定する操作」である】
今回の問5を通じて見えてくるのは、すべての設問に共通する一つの原則です。「見えているものをすべて処理しようとしない」。斜線を無視して外枠だけ見る(ア)、会話文から理科の条件だけ抽出する(イ)、表から差のパターンだけ探す(ウ)、縦軸・横軸の意味だけ確認する(エ)、中学理科の概念に帰着させる(オ)。これらはすべて「処理する情報を意図的に絞る操作」です。
